‘ラムサール条約’をご存知でしょうか?

1971年イランのラムサールという町で、湿地の破壊を食い止めるための国際会議が開かれ、締結された条約です。

湿地を保護することは、地球規模で渡り鳥や水鳥を保護し、広く水辺に生息する動植物などの自然生態系も守るという事につながります。

現在150か国以上が加盟しています。日本が登録している湿地は、1980年に釧路湿原を皮切りに、2016年現在で50か所が登録されています。

湿地や河川などの水辺と人との関わりは、とても深く重要なことなのですね。

“ダックレーン”という言葉を聞いたことはありますか?

河川や運河の多いイギリスのロンドン・バーミンガム・マンチェスターなどの大都市では、水路付近にある歩道の横に、アヒル専用のレーンが設置されています。日本の自転車レーンのような白線で区切られていて、不思議とアヒルやカモが白線内を歩いているそうです。

イギリスの人々のやさしく見守る気持ちは、水鳥たちにも伝わるのですね。

そんな心に余裕のあるイギリスでは、世界中で話題の“ラバーダック”(黄色の水に浮かべるおもちゃ)が、ご当地“ラバーダック”として、いろいろな場所で見かけることができるようです。特にエリザベス女王バージョンは人気だそうです。

近年日本でもアヒルがCMに登場してからでしょうか。可愛いアヒルを飼ってみたいという声が聞かれるようになりました。

今回はアヒルの飼い方についてわかりやすく解説したいと思います。

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目次

アヒルの生態

アヒル 寿命



アヒルはカモ目カモ科マガモ属です。

漢字で“家鴨”と書くように、人間が野生のマガモを遺伝的に改良して家禽化(かきんか、卵・肉・羽毛などの為に飼育する事)したものです。世界中で年間6億羽も飼育されています。

他の水鳥と同じように、川・水田・湖・沼・湿原・海岸などに生息します。足の指の間には水かきを持ち、水上又は水中での行動に適した体型に進化していますが、陸上での敏捷性は劣っているものが多いようです。

一般的なアヒルは、くちばしの先から尻尾まで50~80cm程、体重は3kg前後です。

マガモは、空を飛べるのですが、家禽として飼われていたアヒルは、体は大きく、羽は小さく改良されたので、飛べなくなりました。(数メートル位は羽ばたけます)

卵は薄緑色で、鶏卵と比べますと一回り大きく、30日程で孵化します。雑食性で粗食です。野生下ではマガモと同じように草や昆虫を食べます。

水鳥が羽繕いをしている姿を見かけたことはありますか?

水鳥は皮脂が多いため、腰のあたりにある皮脂腺をついばみ、脂をくちばしに付けて、全身に塗っています。羽毛についた脂が水をはじいて、羽毛と羽毛の間に空気をためているので、水面で浮いていられますし、寒い冬でも暖かいのです。

ダウンがとても暖かい理由ですね。

中国やヨーロッパでのアヒルと人との関わりは、およそ3,000年の歴史があるといわれていますが、ヨーロッパでは、このころから既に貴族の間で羽毛布団が使われていたようです。

日本では平安時代末期に飼育されていたという記録があるようですが、羽毛布団の登場は明治期の上流階級のみでした。

ところでダウンにはグースダウンとダックダウンがあるように、グースの“ガチョウ”と“アヒル”ってどう違うのでしょうか?

アヒルがマガモから作られたのに対して、ガチョウはハイイロガンの遺伝子を持ちます。外見はガチョウの方が大きく、首も長いのです。

アヒルは羽毛(ダックダウン)が十分に育つ前に食肉用などにされてしまうため、ガチョウの羽毛(グースダウン)のほうが暖かいそうです。

尚、どちらもフォアグラにはなるそうですよ。

日本ではシロアヒルが一般的ですが、他にも品種改良されたアヒルがたくさんいます。

アヒルの種類

主な品種を紹介しましょう。

☆シロアヒル・・・日本では一般的で、よくペットとして飼われています。真っ白な羽毛でくちばしと水かきは黄色です。全長は60cm程です。

☆コールダック(ナキアヒル)・・・世界最小のアヒルで、全長は30cm~50cm、体重500gくらいです。鴨狩の囮として作られたため、体は小型ですが、大きい鳴き声です。現在は観賞用や愛玩用です。

☆アオクビアヒル・・・マガモから家禽されたアヒルのうち一番マガモに近い品種。大きさはマガモの倍近い。オスは首が青緑色に白い帯、胸は褐色。メスは全身褐色で黒斑がある。配色もカモに似ている。ペットとして飼える。

☆シキアヒル・・・体は薄黄色。卵用の品種で一年間に約250個生む(普通のアヒルで年間150~200個)

☆カーキーキャンベル・・・体と羽がカーキー色。採卵用として飼育。

☆ザクセンアヒル・・・ドイツ原産の大型種。ルーアンアヒルやペキンアヒルなどをかけ合わせて作られた。採卵用・観賞用・愛玩用。

☆ルーアンアヒル・・・アオクビアヒルに似ている。フランスで人気が高い。主に食肉用。

☆カンムリアヒル・・・頭に冠のような羽飾りがあり、白い飾りのついた帽子を被っているような可愛い姿。観賞用

☆シルバーアップルヤード・・・イギリス原産の大型種。採卵用・食肉用・観賞用・愛玩用

☆スウェディッシュブルー・・・スウエーデン原産の中型種。

☆バウアヒル・・・イギリス原産。採卵用・食肉用

☆インディアンライナー☆ディゲール・・・インドネシア原産。採卵用。走るのが得意。

☆エイルズベリー・・・イギリスで盛んに飼育。食肉用。

☆ポメラニアアヒル・・・ドイツ原産の中型。

☆マグパイアヒル・・・ウェールズ原産の小型。採卵用。

☆大阪アヒル・・・ペキン種とアオクビアヒルの雑種。ペキンアヒルに似ている。

☆ペキンアヒル・・・中国で作られ、アメリカで改良された品種。体は白く、足は赤い。

☆ムラード・・・ムスコビーアヒルとペキンアヒルの雑種。ムスコビーアヒルはノバリケンというカモ科の別の仲間をもとに作られたアヒルとは別の種類です。食肉用。フランスではフォアグラの生産に飼育されています。

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アヒルを飼育に必要な物は?

☆なるべく広めのケージ又は囲い

室内では飛べないので天井はなくて良いのですが、歩きまわるので十分な広さは必要です。屋外では天敵(猫など)に襲われるので、屋根を付けましょう。

☆床材

水場にいる時間が長いので、固い床材は足を痛めてしまいます、柔らかく、洗えるお風呂用のマットまたは人工芝を敷きます。(地面から襲ってくる天敵のもぐらも防げます)

☆水浴び場

衣装ケースやプラフネ(セメントなどをこねるプラスティックの四角い箱)など。水浴びのたびに糞などを流せるお風呂場や屋外に置きましょう。
※屋外の場合は風雨をしのげる犬小屋程度の小屋を設置。小屋をケージで広く囲んでアヒルの居場所を作りましょう。

☆餌

ニワトリの飼料などを与えることが多いようですが、ニワトリの餌は卵を産ませるために高カロリーです。アヒルや水鳥専用のペレットを主食として、おやつに野菜・小魚・煮干しなどをあげましょう。

アヒルの飼育方法は?

アヒル 値段



アヒルは水鳥ですから、水浴びと土いじりが大好きです。

十分な水浴びができ、風通しが良く、適度な日当たりや木陰を作るなど、なるべく自然の環境に近い場所を整えましょう。

ストレスなく過ごしやすい環境で飼うことができれば、寿命は10年~20年といわれています。

アヒルの販売価格は?

コールダックは小型で、ペットとして流通していますので、ペットショップで会える機会も増えてきました。価格は普通のアヒルよりも高く5万円位です。

一般のアヒルはペットショップで2,000円~4,000円で取り寄せてもらうこともできますし、牧場などで買うこともできるようです。

雛の場合はもう少し安く1,000円~2,000円で買えます。

アヒルは群れで生活する習性なので、警戒心もあり、成鳥で飼い始めると慣れるまで時間がかかります。出来れば雛から飼うほうが良いでしょう。

アヒルは“刷り込み”というかわいい習性があり、雛のうちに見たものを親と思い、後をついてきます。犬などのほかのペットとも仲良くできるでしょう。

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アヒルを飼う際の注意点は?

水鳥なので、固い床で過ごしていると、趾瘤症(しりゅうしょう 別名:バンブルフット)という病気になる事があります。趾(あしゆび)の裏にできた小さな傷から細菌が侵入し炎症を起こします。悪化すると角質化し、衰弱や敗血症により死にいたります。

また体の大きなアヒルは関節の軟骨部分が損傷して、関節炎による歩行困難や、腫れた関節に膿がたまる場合もあります。

細菌の感染が無いように、毎日清潔に掃除をし、きれいな水を用意してあげましょう。

良く食べて糞の回数も多く、臭いが気になることもあります。換毛期には羽がたくさん抜けます。鳴き声も特にメスは大きいので、ご近所への配慮も忘れないようにしましょう。

ペットとしては歴史が浅いために、情報が少ないのが現状です。獣医さんでもアヒルを診られる病院は限られていますので、飼う前に調べておきましょう。


アヒルの飼育について↓

まとめ

アヒル 値段



2016年にネット上でとても話題になった一羽のアヒルがいます。

ノースカロライナ州のアッシュビルへ向かう飛行機の中で、信じられない光景を目撃した人がいました。なんと座席にアヒルが乗っていたというのです。

そのアヒルはダニエル君4歳で感情支援動物として、飛行機に搭乗する許可を得ていました。その姿は赤い靴にオムツをして、羽ばたいたり、鳴くこともせずに、静かに座席でずっと窓の外を眺めていました。ダニエル君の飼い主のカーラさんは、事故に遭遇してからPTSDを発症するようになり、以来彼女の心を癒すためにパートナーとして行動しているそうです。飼い主のみならず、同じ飛行機に居合わせた人々にとっても、心地よい時間となったことでしょう。

このダニエル君は、アメリカの多くの航空会社で、サポートアニマルとして認められているそうです。

動物の本能はとても優れていると思います。人の為に貢献してくれていることを、ありがたく思いながら、一緒にいる時間を大切に愛情と責任をもって育てましょう。

以上、アヒルの飼い方についてわかりやすく解説でした。


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