カメというと、世界中で知られているだけでもおよそ300種類いるといわれています。
ギリシャリクガメはリクガメ属の一種なので、まずはリクガメについて解説しましょう。リクガメとは、爬虫類カメ目リクガメ科の動物の総称です。
ゾウガメなど約10属38種あります。オセアニアを除いてヨーロッパ南部・サハラ砂漠を除くアフリカ・アジア南部・アメリカ大陸に分布しています。日本や朝鮮半島にはいません。
背甲が高く盛り上がりドーム型、頑丈な円柱状の四肢の表面は堅い鱗板(りんぱん)で覆われています。爪が発達して水搔きはありません。
リクガメは“陸亀”と書くように陸生で、草原・荒地・砂漠などの乾燥地に生息しています。ほとんど水に入らないのですが、例外にセオリガメなどは水搔きが無くても泳ぎが得意です。
リクガメには陸生のカメでは最大種のアルダブラゾウガメとガラパゴスゾウガメの甲長1.2mをはじめ、アフリカ産のケヅメリクガメの75cm、ヒョウモンリクガメの65cmなど大形種が揃っています。
アルダブラゾウガメといえば、岡山の動物園にいた甲長約1m、体重55kgのメスのアブーちゃんが脱走して話題となりました。ゆっくり歩くので、脱走など考えもしなかったのでしょうね。
ガラパゴスゾウガメはご存知のようにガラパゴス諸島に生息していますが、絶滅の危機に瀕しています。体も最大種ですが、寿命も長く180年~200年といわれています。現代に生きる私たちが知らない世界を見ているということですね。
同じリクガメでもギリシャリクガメ属は小形です。北アフリカ産のエジプトリクガメは,甲長12cmです。東アフリカ産の甲長15cmの柔らかい甲を持つ、その名もパンケーキガメは驚くと岩の隙間に入って、体を膨らませて、引っ張り出されないように身を守る変わったリクガメです。
その他、人気者リクガメの代表格は
◎日本の気候に似た地中海性気候に生息し人懐こく、日本で人気のヘルマンリクガメ
◎穴掘りが得意で、前肢後肢とも4本指のヨツユビリクガメ
◎褐色の頭や前肢に赤やオレンジ、黄色の模様が入る美しさで人気のアカアシガメ
◎甲羅に黒に白い放射状の模様が入る美しい姿のインドホシガメ
◎そしてギリシャリクガメがいます。
これらのリクガメのほとんどはCITESに登録されて輸出入に制限されています。
CITESとはご存知でしょうか?
日本の正式名称は、「絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する条約」です。
「The Ⓒonvention on Ⓘnternational Ⓣrade in Ⓔndangered Ⓢpecies of wild Fauna and Flora」から略称とされました。第一回会議がアメリカのワシントンで開かれ、1973年3月3日に採択されましたので、ワシントン条約として知られています。
日本では1980年11月4日にこの条約を批准しました。
今回は、ギリシャリクガメの販売価格・寿命・飼育方法について解説したいと思います。
目次
どんな生き物?
ギリシャリクガメといっても、ギリシャにはほとんど生息していません。
甲羅の模様がギリシャ織に似ていることから、分類学者のリンネが名付けました。
ギリシャリクガメは、ヨーロッパリクガメの一種で、地中海リクガメ属です。
中型のカメで色合いも様々、全体が茶色や黄色で、黒っぽい不規則な斑点模様が付いている個体が多いようです。環境によって色合いも変化しますが、年齢と共に全体が黒っぽくなり、模様も不鮮明になります。ヘルマンリクガメにとてもよく似ています。
見分け方は、ギリシャは尾の両脇の肢の付け根に、円錐状の突起がありますが、ヘルマンには見られません。一方ヘルマンには尾の先端に突起がありますので、区別できるでしょう。
ギリシャリクガメには、地中海東部域に分布する次の亜種がいるとされていますが、各生息地の詳しい調査が行われておらず、研究者の間でも未だに、分類が難しいようです。
☆ギリシャリクガメ(ムーアギリシャリクガメ)・・・北アフリカやスペインに分布。
別名「グエラカ種」とも呼びます。神経質で病気をしやすいので、ギリシャリクガメの中では飼育が難しいといわれています。
☆イベラギリシャリクガメ(トルコギリシャリクガメ)・・・ギリシャやトルコとその周辺に分布。亜種の中でも、大型になり25cm~36cm。寒さに強く冬眠するタイプ。
☆テレストリスギリシャリクガメ(アラブギリシャリクガメ)・・・イラン高原東部やアフガニスタンに分布。亜種の中でも小型で、15cm~20cm。全体的にクリーム色の甲羅で美しいので、日本では人気です。寒さに弱く冬眠しないようです。
☆アナムールギリシャリクガメ・・・トルコ南西部に分布。亜種の中でも大型で、23cm~25cm。年齢と共に全体が黒くなり、甲板の縁がフレアー状になります。
☆ザルドゥニギリシャリクガメ(イランギリシャリクガメ)・・・リビア・イスラエル・トルコ南西部に分布。
☆ニコラスキーギリシャリクガメ…カフカス山脈の南西部に分布。
※亜種とは、生物分類学上の単位の一つ。種の下の階級で、独立の種とはしがたいが、同種とも言い難いもの。
飼育に必要なものは?
☆水槽
大きさはそれぞれの個体の大きさによりますが、基準とするには個体の大きさの10倍以上です。例えば、甲長10cmの個体であれば、10×10倍=100cmです。水槽の幅と奥行きを足して100cm以上の大きさの水槽を用意してください。
☆床材
保湿にも効果があります。ペットショップで爬虫類用の床材として、ヘンプ(麻の一種)・天然ヤシ・天然クルミ殻の有機砂などが購入できます。抗菌や消臭効果もあるので、良いと思います。新聞紙などは歩行の妨げになるので、避けたほうが良いでしょう。床材は衛生面からも毎月交換しましょう。
☆紫外線ライト
他にメタルハラライドランプがあります。紫外線はリクガメの骨格や甲羅の形成には欠かせませんので、必ず設置しましょう。紫外線量は使用すると減少していくので、一年ごとに交換しましょう。
☆水入れ
浅く面積の広いものを用意しましょう。ひっくり返らないように床材に埋めてください。水をよく飲むので、常にきれいな水を用意してください。
ギリシャリクガメの飼育について
飼育方法は?
ギリシャリクガメは草食性なので
餌は主食として、野菜類の小松菜・チンゲン菜・モロヘイヤ・カブや大根の葉・サラダ菜、野草類ではタンポポ・オオバコ・ハコベ・クローバー・ムラサキツユクサ・カラスエンドウ・ナズナなどを与えます。副食には、レタス・キュウリ・ニンジン・カボチャ・オクラ・菜の花などです。果物はオレンジ・イチゴ・リンゴ・バナナ・マンゴー・キウイなどがあげられますが、糖分を摂りすぎないように気を付けましょう。
ほうれん草はシュウ酸という成分が、カルシウムの吸収を妨げ、キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科の野菜も甲状腺に影響を及ぼすので、あまりあげないほうが良いでしょう。
また餌と一緒にカルシウム剤をあげましょう。
温浴を一日一回することで、排便を促し体も清潔に保てますし、運動不足の解消にもなります。
体が入る大きさの洗面器に40℃程度のお湯を入れます。洗面器は尿や便の状態がチェックできるように、色のついていない透明のものが見やすいでしょう。
温浴の後は、体を乾かしてあげましょう。温浴の後は餌をよく食べるので、餌の時間を温浴に合わせると良いと思います。また食事のあとはゆっくり消化させるため、消灯の3時間前には餌を与えてください。
平均的な販売価格・寿命は?
爬虫類専門のペットショップでは、甲羅の模様や色合いで異なるようですが、平均として10,000円~35,000円位です。大型のアナムールギリシャリクガメは7万円前後でしょう。
購入の際は密輸などの個体ではないように、CITESの証明書の提示をお願いすると良いでしょう。
飼育環境にも左右されますが、30年~50年といわれています。
飼う前にどんな固体か調べたうえで、生息地に合った環境を作りましょう。
飼育する際の注意点は?
水槽内の温度と湿度に気をつけましょう。
水槽全体は28℃~32℃、スポット下では35℃~37℃を保ちましょう。湿度は個体の生息地の状況によって違いますが、ギリシャリクガメは乾燥系が多いので、湿度40%~50%にします。湿度が足りない時は、霧吹きや加湿器を使用すると良いでしょう。特にベビーは呼吸器感染症にかかりやすいので、湿度を高めにしたほうが良いと思います。
健康状態のチェックポイントは
日中活発に動くかどうか。甲羅に傷がついていたり、縁が反り返っていないか。瞳の充血や、くぼみがないか。これらをよく観察して体調管理をしましょう。
まとめ
リクガメは絶滅危惧種でもあり、本来日本には生息していません。
飼いきれなくなった時も、川や公園などに放すことはしないでください。日本の自然界で生息する事は難しいかもしれません。最後まで責任をもって、大切に育てましょう。
以上、ギリシャリクガメの販売価格・寿命・飼育方法について解説でした。