オスのフロントーサにはおでこにコブがあらわれ、とても特徴的なので、名前は知らなくても見たことがある人も多いのではないでしょうか。
特定の湖にしか生息していない固有種で、その湖の場所によって特徴が異なるという、面白い特性があるため、複数の種類が存在しています。
しかめっ面のようで、迫力がある姿のフロントーサは好みが分かれるのか、認知度の割には飼育数が少なくなく感じます。ですが、愛好家の間では専用の水槽を作成し群泳を楽しむなんてことも一般的なようですので、決して魅力のない魚ではありません。
購入の目安にもなりますので、これからフロントーサのそれぞれの特徴についてご紹介したいと思いますので、お気に入りの一匹を見つけたくださいね。
目次
フロントーサってどんな魚?
フロントーサは、キフォティラピアフロントーサとも呼ばれていますが、一般的にフロントーサの名称で流通しております。
生息地はアフリカのタンガニーカ湖で、最大で35cmの大きさに成長する個体もおり、非常に大型のアフリカンシクリットです。
成熟したオスには頭にコブがあらわれ、とても特徴的ですが、メスにはそのようなコブはあらわれません。コブのあるフロントーサを飼育したい場合は、購入の際のオスを選ぶと良いでしょう。
タンガニーカ湖に生息している他のアフリカンシクリッドに比べて、腹水病やエロモナス症などの病気になりにくい強い体を持っており、その他にも熱帯魚全般に発病しやすい白点病もなりにくいです。
フロントーサの寿命は25年くらいとも言われていますが、実際はそこまで生きるのは稀なようです。しかし、通常の飼育環境であれば10年以上生きるので、長い間お世話することになりますので、よく考えから購入した方が良いでしょう。
どのくらいの種類がいるの?
フロントーサの種類は、生息地であるタンガニーカのどの場所に生息しているかによっていくつかの種類に分かれています。地域異変でその姿に変化が出ており、5種類ほどいるようです。
タンガニーカ湖は縦に細長い形状をしており、その面積はとても広く約32900km²で琵琶湖との差は約50倍以上もあります。
また、タンガニーカ湖はただ広いだけでなく、世界一古い湖であるバイカル湖の次に古く世界第2位です。さらに、世界一深い湖はバイカル湖ですが、その次に並んでタンガニーカ湖となっております。
これだけ広い湖ですから、場所によってフロントーサに違いが出るのもうなづけますね。
フロントーサの種類
ブルンディ
タンガニーカ湖の北部でブルンジ共和国に接している地域に生息しているフロントーサです。体の色は若干薄めで光沢のある白色をしており、黒いバンド模様は乱れている個体が多いです。また、体は非常に大きく成長し、オスにあらわれるコブの張り出しも顕著となっております。
この種類は古くから観賞用として飼育されており、1960年代にはペットとして一般的だったようです。歴史が長いということもあり、世界各地に流通しており、ヨーロッパや東南アジアなどで繁殖が頻繁に行われており、安価で入手することも可能です。
価格は9cmくらいで販売されているのは4000円程度で購入できます。また、成熟した個体は数万円するものがほとんどですので、小さな個体を自分好みに育てるなどして楽しめば、安いからといってデメリットはさほど感じないでしょう。
ブルーザンビア
タンガニーカ湖の南部でザンビア共和国に接している地域に生息してフロントーサで、オスの額にあるコブがかなり張り出しており、体の色は青みが強いのが特徴です。青いフロントーサは高額になりがちですが、その中でもブルーザンビアは比較的安価な種類です。
フロントーサ特有の黒いバンド模様は太めでがっしりとした印象ですが、乱れているような入り方をしているため、個体差により模様の違いが顕著になる場合も多いです。
価格はブリード個体で5000円ほどとなっておりますので、野生のブルーザンビアはこの価格よりも高くなると予想されます。流通量が少ないのか、ネット通販では販売されている個体があまりないため、購入に苦労しそうです。
ムピンブエ
主にタンガニーカ湖の南部で生息しているムピンブエは、1992年に新しく発見されたフロントーサで、ダイバーの手から餌を食べるほど性格は人懐っこく、とても活発です。
フロントーサは基本的には臆病な魚なので、このような場合岩陰に隠れてしまいますが、ムピンブエは物怖じせず姿を隠すこともほとんどないので、フロントーサの中でこの種類を1番好む人も多いです。
見た目は青みが強く、目の下のバンド模様が太く出ます。全体的に均整がとれた姿をしているので、コブのイメージが強烈なフロントーサですが、とても美しい印象を受けます。
価格は3000〜8000円くらいで、同じくらいの大きさでもショップによりかなり価格の差がありますので、購入の際は複数のお店を見比べて購入した方が良いかもしれません。
ザイールブルー
タンガニーカ湖の西側で、ザイール共和国に接ししている地域に生息しているフロントーサです。成熟する前から青みが強く、バンド模様も均等で、他のフロントーサよりもコブが目立たず、体高が出てくるのが特徴です。
フロントーサの中で1番人気となっているザイールブルーですが、その中でも特にザイールのモバ周辺に生息している種類が最も人気があり高額で取り引きされることも多いです。
価格は幼魚などの小さな個体なら5000円ほどで購入できる場合もありますが、成魚の場合は10万円以上する個体がほとんどです。
特にザイールモバと呼ばれるフロントーサは非常に高額になっていますので、成魚の購入はなかなか難しいでしょう。
キゴマ
タンガニーカ湖のブルンジ共和国と、タンザニアの国境近くにあるキゴマ周辺で生息しているフロントーサで、体高がやや低くコブも控えめで細長く、全体的にスマートな印象です。
バンド模様は7本あらわれており、その模様は乱れることなくハッキリと出ています。しかし残念ながら、流通量が減っているため販売数が少なく、入手には苦労しそうです。
価格は4cmほどの個体が4000円くらいで販売されており、他のフロントーサと同じくらいとなっています。販売数は多くないようなので、購入希望の方は見つけたら購入しておかないと、次はなかなか出会えないかも知れません。
まとめ
安価な熱帯魚と比べると、フロントーサは高額な個体が多く、初心者だと手を出しにくい印象ですね。しかし、成長とともに色が濃くなったりコブがあらわれたりと、変化が著しいので、飼育は楽しく感じると思います。
特にこだわりがなければ、流通量も多く安価なブルンディから飼育し、慣れてきたら高価な個体にもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。