皆さん、アリジゴクと聞いて何を連想しますか?
多くの方は、「獲物を捕らえるための罠」と認識しているものと思われ、「一度入り込んだら抜け出せない」と言う意味からも様々な喩えとして使われることがありますよね。
しかし、アリジゴクとはウスバカゲロウの幼虫を指すものであり、その幼虫はすり鉢状の巣を造りその罠に蟻などが落ちる様を見立ててアリジゴクと名がついたとされています。
また、ウスバカゲロウと名の付く限りは、ぞくに短命で儚いと言われるカゲロウと同じ種なのだろうかとも考えてしまいますが、実際のところはどうなのでしょうね?
今回は、そんなアリジゴクの生態・飼育方法・捕まえ方について解説します。
目次
生態は?
アリジゴクはウスバカゲロウの幼虫であり、アミメカゲロウ目・ウスバカゲロウ科の昆虫の総称で又はその一種ウマバカゲロウを指します。
カゲロウと名が付いていますが、実際にはカゲロウ目とは縁遠い昆虫であり全くの別物で、その生態系も違います。
地域ではウスバカゲロウの事を極楽トンボや神様トンボなどと呼んでいるところもあり、幼虫であるアリジゴクは家の軒下や神社の縁の下などにすり鉢状の巣を造って蟻や他の昆虫などを捕らえて生きています。
体長は1cm程で鎌状の大顎を持ち、乾燥した土をすり鉢状に掘って巣を造り、底に潜んで罠に掛った蟻に砂を投げつけながら脱出を妨害して巣の中心部に滑り落とします。
そして捕らえた獲物の全体液を吸汁してからその亡骸を外へ放り投げるのだそうです。
調べれば調べるほど恐ろしい昆虫である事が分かりますが、恐ろしいのはこれだけではなく、実は、猛毒も持っているとも言われています。
ある研究によると猛毒のフグ毒(テトロドトキシン)の130倍も強い事が分かっており、巣に引き込まれた獲物に注入し身動きが出来なくなったところを体液の全てを吸汁するようです。
しかし、安心してください!その毒は人には作用しないとされていますので。
また、一般的にカゲロウの寿命は短く羽化しても数時間しか生きられないと言われますが、ウスバカゲロウの寿命は長く約1ヵ月以上も生きる事が出来るとされています。
飼育方法は?
生態系を知れば知るほど、とても可愛いとは思えないアリジゴクですが、何故か子供達には人気がありますよね。
そこで飼育する方法としていくつか御教えしたいと思います。
アリジゴクは、周囲の壁が低すぎない限り逃げ出す事は無い為、羽化するまではケースの蓋も必要はありません。
適当なケースに生息地の土を10cm~15cm程入れて捕まえてきたアリジゴクを入れます。すり鉢状の巣を造ったら餌を入れますが、この時生きた蟻などを入れるとアリジゴクの餌の捕獲する状態が観察できるとものと思われます。
また、土の表面は乾いているように見えますが、巣の中心部は少し湿っている為、土を入れる時は乾燥した土がくっつかない程度の水を入れます。
巣穴を作らなくなった頃のアリジゴクは繭の中で蛹になっている事が多い為、その繭を確認してから長さ7~8cmの割り箸を土に突き立てておき容器に蓋をしておきます。
繭を形成してから約1ヵ月程で羽化をします。
飼育するのに必要な物は?
飼育に必要な物は以下のようなものになります。
・容器(1辺が10cm程度のもので十分)
・容器の蓋
・生息地の土、シャベル
・少量の水
・7~8cm程度に切った割り箸
捕まえ方は?
アリジゴクの捕まえ方は様々にあり中には巣穴に指を突っ込んでつまみ出すと言うような荒技的な方法で捕らえる人もいる事から頼もしさも感じますが・・・
やはり相手は虫である為、見えない虫を素手でつまみ上げる事に抵抗を感じると言う方は、スプーンかシャベルなどを使って土ごとすくう方法、又はダンゴ虫などを糸で結び巣穴に落とす・・・と言うような誘き寄せの方法もあります。
これなら子供と楽しみながらアリジゴクを捕まえる事が出来そうですよね。
アリジゴク釣り↓
飼育する際の注意点は?
アリジゴクの巣は上の部分は乾燥している状態が良い事から、容器を置く場所は風通しの良い半日陰の場所に置くのが良いようです。
また、繭を作り約1ヵ月程で羽化を始めるため、繭を確認できたら容器に蓋をしましょう。
まとめ
アリジゴクはウスバカゲロウの幼虫であり、その名前の由来には古代中国に下級兵が戦術として考えたすり鉢状の穴を掘ると言う作戦を馬鹿にされ、「薄馬鹿下郎」と罵られたことから自らの命を絶った後に偶然仲間がアリジゴクを発見した事で「薄馬鹿下郎」の考えた戦術と同じ事に気づき、その虫を薄馬鹿下郎の生まれ変わりとして哀れんだことからつけられたと言われています。
同じカゲロウの名前が付いていてもカゲロウとは全く別の種でありその形態も生態も違い、ウスバカゲロウはすり鉢状の巣を造り他の昆虫を罠にかけて捕らえ体液を吸汁する生き物です。
飼育する際には生息している土を容器に入れるのが一番良く、蟻などを入れてあげるとその捕らえる様子も観察できるため夏休みの自由研究などにしやすいのではないでしょうか。
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