唐突ですが、「ゲンゴロウ」と言う昆虫をご存知ですか?
名前は知っているけど見た事が無い方も多いのではないでしょうか?
かく言う私も野生下のゲンゴロウにはお目に掛かった事はありません。
今回はそんな「ゲンゴロウ」に関しての情報を皆様にお伝えしていきたいと思います。
目次
ゲンゴロウとは?
まず、ゲンゴロウと一口に言っても結構な種類が居まして、日本には約130種類程のゲンゴロウが存在しています。
一般的に「ゲンゴロウ」と呼ばれているのは「ナミゲンゴロウ」「オオゲンゴロウ」と呼ばれている種の事を指します。
少し話は戻りますが、「野生下のゲンゴロウを見た事が無い」と記述致しましたが、近年その数を急速に減らしている昆虫の一種でもあります。
環境庁発表のレッドリストにゲンゴロウ類の種類が1/3以上掲載されています。
これだけ数を減らした要因は様々ありますが、生息域である水田の残留農薬やそもそもの水田の消失、外来魚による捕食等、色々挙げられます。都市部ではほとんど見掛ける事は出来ない、と言われている水生昆虫が「ゲンゴロウ」なのです。
以下よりゲンゴロウに関する記述は「ナミゲンゴロウ(ゲンゴロウと表記していきます) 」に関する情報を記述していきます。
ゲンゴロウの分布域ですが、日本全国が分布範囲内にはなりますが、先程記述した様に都市部では壊滅的であると言われています。
生息場所としては水田をはじめ、小川や池、湿地等に生息しています。
水生昆虫と表記しましたが、飛翔能力もあるので飛ぶ事も可能です。体長はおおよそ30~40ミリ前後でメスの方が少し大きい傾向にあるようです。
体色は濃いグリーンと言うべきか暗いグリーンと言うべきか、暗めのグリーンが適した表現かも知れませんね。
オス・メス比較ではオスの方が光沢が強く、オス・メス共に黄色っぽい縁取りが特徴的です。オスの前足には吸盤が付いており、そこを見る事により雌雄の判別が可能です。
ゲンゴロウの飼育に必要な物は?
ではお次はゲンゴロウを飼育する際に必要になる物は何があるのか、と言う点をご紹介しましょう。
①水槽
比較的大きい水槽(60センチクラス)が用意出来れば望ましいが無ければ、30or40センチくらいの水槽は用意しましょう。
ゲンゴロウの遊泳力は相当な物なので小型水槽だと何かの拍子(ビックリさせた時等)に壁にぶつかってしまう恐れがある為です。
②敷き砂
自然環境に近づける意味合いも含め敷き砂を水槽内に敷きます。
市販のソイルと珪砂(けいしゃ)を用意して珪砂を敷いてからソイルを敷いて下さい。
③流木的な止まり木
止まり木の必要性としてはゲンゴロウは甲羅干しの習性を持っています。
なので完全に水中に沈めるのではなく、水面から数センチ程度出す様にして入れます。
甲羅干しの場所になるのと同時に足場としても使うので止まり木は用意して下さい。
④濾過フィルター
ゲンゴロウは肉食(詳細は後述)なので水質が悪化しやすい傾向にあります。
極端な悪化を防ぐ意味合いも含め濾過フィルターは用意した方がいいです。
⑤水草
足場として水草は使えますし、水槽内の見た目も良くなります。
足場用として水草を入れる場合は、マツモ等を入れて下さい。
他に、産卵をさせたい場合はホテイアオイ等が産卵床になるので複数入れてあげるといいでしょう。
⑥蛍光灯
必須アイテムではないですが、水草を入れる場合には水草成長用に必要です。
蛍光灯は必要に応じて調達するなり検討して下さい。
ゲンゴロウの具体的な餌はどんなもの?
ゲンゴロウの餌はミミズや刺身、小魚、ドジョウの死体等を好んで食べます。
ただ生餌のみならず、熱帯魚用の人工飼料でも代用可能です。
野生下では弱った魚類や昆虫等を食しています。
ゲンゴロウが煮干しを食べる様子
ゲンゴロウの飼育方法は?
飼育方法としては上記でご紹介した必要な物を揃えて頂ければ後はこまめなメンテナンス(主に水替え)をして頂ければ問題無いです。
と言うのも、ゲンゴロウは大変丈夫で比較的飼育は容易な部類に入ると言われています。
簡単に飼育出来る事から初心者向けと言われたりもしますが、だからと言って何もせずに放置するのだけはやめて下さいね。
キチンとお世話するのが前提での「飼育が容易」と言う事ですので。
ケージ内の水質について
飼育する場合のケージの水ですが、他の水生生物・熱帯魚同様にそのままの水道水を使用するのはおすすめしません。
デリーケートですからね、虫や魚は。
なので飼育の前にしっかりとカルキ抜きを行ってから、そこにゲンゴロウを入れましょう。
その際、中和剤を使ったカルキ抜きよりも、太陽のもと自然にカルキ抜きした水のほうが彼等は活き活きと生活します!!
少し手間はかかりますが、参考にしてみてください。
また、エアレーションに関してはゲンゴロウ投入前にしっかりと行いましょう☆
ゲンゴロウは販売されている?
通信販売やオークションサイト等で販売されています。
価格は販売所によってマチマチですが2,000円~5,000円の範囲内くらいで取引されている模様です。
オス・メスペアで販売していたりもするので上記の価格差に開きがあります。
ゲンゴロウの幼虫に関して
いままでは成虫に飼育方法や特徴に関して書いてきましたが、かれらの幼虫にも触れたいと思います。
成虫は楕円形のツヤツヤした形をしていますが、ゲンゴロウの幼虫って細長いんですよ。
水中で暮らしているんですが、脱皮を繰り返し大きくなると上陸し土中に潜り蛹化してゲンゴロウの成虫フォルムになるのですが、あの細長い幼虫がよくこの形(成虫)になるな、と感心させられます。
何と表現して良いか、語彙力の乏しい私には上手い表現が見つかりませんが、進化って凄いなってつくづく思います。
もし飼育している成虫が卵を産んで孵化して、幼虫が産まれたら是非飼育にも挑戦してみてください!!
まずプリンカップのような容器に園芸用の無農薬の土を盛って、水場と陸地を作ってください。
そこでコオロギ、メダカ、ミルワームなどを食べてもらいます。
しばらく脱皮を繰り返し餌を食べなくなると蛹になる準備が整っているのかもしれません。
そしたら土をしっかりと入れた瓶にに移し替え、そこで蛹から成虫への進化を見届けます。
飼育方法の詳細↓
具体的な飼育
プリンカップ等の容器に中和した水を入れ、足場になる水草も適せん入れて一匹づつ飼育する。ウチではミネラルの補充の意味で前述の黒土・けと土・荒木田土等もほんの少し入れている。エサは基本、毎日だ。常時見ていられなければ、朝と夜にする。幼虫は液体状の糞を多量にするので、表面に油分が浮いてくるようなら呼吸困難にならないよう水替え等も頻繁に行うこと。食べ残し等の撤去は成虫以上に留意しなければならない。
加令の脱皮をする際には、1-2日前位からエサを食べなくなり、体が透き通ってくる。動き回らないので上陸する場合とは見分けがつく。脱皮直後の幼虫には触れないようにしよう。
3令になって、10日から2週間ほどするとエサを食べなくなり、頻繁に動き回るようになる。そうしたら上陸の可能性が高い。放置しておくと溺死してしまうので、蛹化用の土壌を入れたビンを用意し、強制的に上陸させる。普通は20-30分もすれば土中に潜っていく。1-2日経っても潜っていかなければ、一旦、元のカップに戻して様子を見るのも手だ。再びエサを食べるときもある。
上手く事が運んでいれば、土中に潜ってから40-50日すると成虫が自力で表面に出てくるだろう。最低でも2-3日、カップによる個別飼育で水になじませてから水槽に移してやろう。体が硬化していない新成虫は捕食の対象にもなりやすい。
出典:オオクワガタを飼おう 『ゲンゴロウの特徴・生態や飼育・繁殖方法を詳しく解説』
ゲンゴロウ幼虫の捕食シーン!!
ゲンゴロウは混泳できる?
ゲンゴロウは水の中を悠々と自由に泳ぐのが特徴です。
混泳は可能ですが小さな水槽にギュッと沢山のゲンゴロウを入れてしまうとストレスがかかってしまいます。
人間も一緒ですよね、あの満員電車や混んでいる行楽地といったら・・・笑
なので60センチ位の大きな水槽で多くて5匹ほどにしておくのが良いかと思います。
また他の種類の水生生物との混泳も可能ですが、餌切れにより小魚やエビなどは捕食されてしまう可能性もあります。
それは非常に残念なので、混泳させる場合は餌の量や種類に気をつけましょう。
ゲンゴロウを飼育する際の注意点は?
飼育時に注意点は餌の項目でもお伝えしましたが、肉食性の昆虫等で餌の食べ残しによる水質悪化には十分気を付けて下さい。
食べ残しはすぐに掃除が鉄則です。
他には冒頭に少し触れましたが、ゲンゴロウは飛翔能力が高いので水槽の蓋をしていないと飛んで行って脱走してしまう可能性がありますので蓋はキチンと閉めましょう。
そして彼等は冬の寒さには強いのですが夏の暑さには弱いという特徴があります。
水生生物には珍しいことに、冬は特にヒーターなどを特別用意しなくても常温の状態で飼育可能です。
一方夏は直射日光が当たったり換気があまりされなかったりで水温が高くなるとやられる恐れがあります・・・
夏は、特に目を光らせてあげたほうが良いですね!!
まとめ
今となってはレアな存在であるゲンゴロウ。
環境が変わる事によって人間は便利になりますが、人間以外の生物にとっては棲みにくい環境になってしまう訳ですよね。
ゲンゴロウ類と言う括りで見ると1/3程の種類がレッドリストに掲載されている様に種類及び数がどんどん減少傾向になってしまっています。
都市部以外であれば、本来の生息域である水田や用水路で見る事はあるそうなのですが、見る事の出来る数は圧倒的に少ないでしょうね。
以上、ゲンゴロウの飼育方法・餌・販売価格 について解説でした!
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