石巻貝は水槽内をお掃除してくれる頼もしい存在で、熱帯魚やメダカの飼育の際に混泳させている人も多いです。
とても有益な生き物である石巻貝を継続して飼育させるためには、繁殖させることが1番です。しかし、石巻貝を繁殖させることはできるのでしょうか?
そんな疑問に答えるべく、石巻貝について情報をまとめてみましたの、実際に繁殖できるのか、また寿命についてなど興味のあるかたは是非参考にしてみてください。
目次
生態は?
巻き貝の一種である石巻貝ですが、主に熱帯、温帯である西太平洋沿岸に生息し、淡水および汽水域で生活しています。日本の固有種でもあり、本州中部地方から南の地域の河川の中流から河口域にかけて生息しています。
岩石などの表面を這って移動し、付着している藻類や微生物が生成するバイオフィルムと呼ばれる細菌の集まりを食べて生活しています。そんな石巻貝は捕食対象になることも多く、淡水域ではゲンジボタルやヘイケボタルの幼虫などに食べられてしまうことも少なくありません。
繁殖期は春から夏にかけて行い、メスは交尾後に岩石などの表面に直径1〜2mmほどの卵嚢を産み付けます。この卵嚢の中には100個ほどの卵が入っており、孵化すると海へと流れて行き、そこで植物プランクトンを食べて長い期間生活します。
成長した個体は河川の汽水域まで遡上し、定着すると変態を経て幼貝となります。貝の形となった後は成長とともに河川の上流へと遡上し、完全な淡水域まで移動していくのです。
石巻貝は南日本で多くの固体が確認されていますが、絶滅危惧種に指定されている地域もありますので、川などで採集する際は注意してください。
水槽内での働きは?
石巻貝は水槽で発生してしまった苔などを食べてくれるため、掃除の手間が少なくなるという嬉しい効果をもたらす貝です。しかも、たくさん食べるため60cmくらいの水槽でしたら、苔を全て無くすのなら2〜3匹ほど入れてあげれば十分です。
水槽内で発生してしまう苔や藻の種類は複数存在しますが、ほとんどの種類のものを食べてくれます。
石巻貝以外にも苔などを食べてくれる貝は複数ありますが、中には特定の苔や藻しか食べないという種類もいますので、それと比べますと石巻貝の優秀さがより分かると思います。
ちなみに、苔以外にも魚などが食べ残した餌なども食べてくれるため、水質維持の強い味方となるでしょう。
実は石巻貝はお掃除役以外にもアルカリ性に水質を傾けてくれたり、貝殻の部分からカルシウムが溶け出しphを整えてくれたりなどの効果もあり、水質の安定に一役かってくれます。
酸性の水質を好む熱帯魚でも、カルシウムは必要な栄養ですので存在が邪魔になることはありません。
石巻貝の繁殖は難しい?
石巻貝の繁殖ですが、残念ながら水槽では難しいでしょう。というのも、上述した通り石巻貝は孵化した後に海へと向かい、その後汽水域をへて淡水域へと戻ってる習性があるため、同じ状況を水槽内で作ることは困難となっています。
そのため、水槽で働いてくれている石巻貝の寿命が来たら新しい石巻貝を購入などして入れてあげる必要があります。
繁殖することはありませんが、卵は産みますし孵化させるまでは可能です。孵化した個体は、魚にとって栄養豊富な餌となりますので、やはり無駄にはなりません。
繁殖可能な貝の場合、増え過ぎて困っているというケースも多く聞きますので、繁殖できないというのはデメリットではなくメリットとなるでしょう。
水槽に卵を産み付けられたらどうしたら良い?
水槽の中に産み付けた卵は、魚などの生き物と混泳しているのであれば、そのままにして孵化させてあげましょう。大人になることは決してありませんが、魚達にとって栄養満点の餌となります。
また、魚の繁殖を行なっているのであれば、稚魚にとって石巻貝の孵化した個体は最高の栄養源となりますので、是非食べさせてあげてください。
生き物のいない水草のみの水槽でしたら、ガラス面に張り付いた卵が汚く感じるのであれば取ってしまっても問題ありません。孵化しても食べてくれる生き物がいないので、その方が良いかもしれませんね。
石巻貝の寿命は?
石巻貝を飼育する場合、淡水に入れることがほとんどだと思いますが、この状況下で1年も生かしておくことができれば、長生きな部類に入るでしょう。
販売されている石巻貝は淡水域で採集された個体と、汽水域で採集された個体が存在します。大抵は採集場所が分からないものが多く、汽水域で採集された個体は淡水で長生きさせるというのも難しい話です。
運良く淡水で採集されたい石巻貝を購入することができれば長生きさせることも可能なようですが、それでも寿命は平均して1年前後くらいなようです。
他の種類の魚と混泳する際の注意点は?
石巻貝と混泳させる生き物はメダカが多く、互いに干渉することなく混泳はうまくいっている場合がほとんどです。なので、メダカくらいの大きさと性格のものなら他の種類の魚と混泳させても問題ないでしょう。
石巻貝の孵化した個体を食べる生き物は多くいますが、成体の石巻貝を食べる魚は少ないので安心して混泳できるでしょう。
石巻貝の働きの様子
まとめ
アクアリウムを行なう上で、鑑賞性を下げてしまう厄介な苔を安全に食べてくれる石巻貝は、入れておいて損はないでしょう。
水槽の掃除は意外と手間ですし、中にいる生き物へ僅かながら負担となってしまいますが、石巻貝を入れるだけで全て解決してしまいます。もちろん水換えを全くしなくていいというわけではありませんが、非常に強い味方となってくれます。
是非水槽の魚達のためにも仲間に入れてあげて、快適な飼育環境を整えてあげましょう。
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