絵本やアニメーションなどに登場するネズミは、とても可愛らしく親近感のある姿にデフォルメされて描かれていますね。そんなネズミにとてもよく似ている、愛嬌のあるデグーを知っていますか?
一目できっと好きになるでしょう。
2012年に放映されたテレビドラマでは、特殊能力を持つ主人公が、デグーにまつわる過去の出来事から、長い尻尾のデグーのぬいぐるみを大切に持ち歩きながら、事件を解決していくストーリーが描かれていました。当時そのぬいぐるみが流行ったり、デグーという小動物の名をはじめて知った方も多いことでしょう。
今回は、デグーの寿命や病気について解説したいと思います。
目次
デグーとはどんな生き物?
齧歯類(げっしるい)ネズミ目、テンジクネズミ亜目、デグー科に属します。
種類はペルーデグー、チリデグー、フサオデグーなどと分類され、さらに毛色でも分かれているようです。
日本で飼育されているのはフサオデグーで、アグーチと呼ばれる茶色い野生のままの色が一般的のようです。他にブルーと呼ばれるグレーがかった子、パッチドアグーチという白にまだら模様の子、アグーチより色が濃いブラックなど種類は豊富です。
主に南アメリカ南西部のチリの山岳地帯、アンデス山脈の高地に生息します。
野生下では、社会性をもったコロニーで、5~10匹の小さな群れで生活をしています。
そんな気の合う仲間同士でコミュニケーションをとる方法として、いろいろなトーンの声を使い分けて会話をしています。この鳴き声からデグーは“アンデスの歌うネズミ”と呼ばれています。
山岳地に暮らしていますので、脚力は優れています。大きな耳で聴力も発達し、視力もハムスターなどに比べると高いのですが、臭覚は齧歯類(げっしるい)の中では劣るようです。そのため高いところに上り、聴覚や視力を生かして警戒をするようです。
平均体重は170g~300gと小さく、体長の平均は12cm~20cmに対して 尻尾が8cm~13cmと、とても長いのです。
ちょっとハムスターにも似ていますが、クリクリとした大きな瞳に長いマツゲ、体の割に大きくピンと立った耳、長い尻尾の先にはフサフサの毛がついています(トランペットテイルと呼びます)。犬や猫のように、尻尾を動かして、興味がある事には表現をするようです。
チャームポイントの歯は、黄褐色やオレンジが正常の歯です。もしも白い歯をしていたら、病気のサインと考えましょう。
またリスやハムスターのように、上手に手を使って食べます。爪が長くなると、自分で咬んで手入れをする子もいるようです。そんな愛らしい姿に魅了されて、近年日本でも人気が出てきましたね。
デグーの寿命は?
ネズミの仲間としては比較的長いほうですが、5~10年といわれています。
一般のネズミほど特有の病気はないので、特別なケアを与えなくても、5年以上生きられるというデータもあるようです。
飼育環境を整えて、常に体調を気遣うことで、飼い主の愛情に応えてきっと長生きしてくれるでしょう。
他のネズミ目に比べて寿命は長い?
一般的なネズミは1~2年。ハムスターでも2~3年。
南アメリカのインディオによって家畜化されたモルモットは5~9年といわれていますので、デグーは一般的なネズミに比べますと、長寿だと思います。
また例外として、世界で最も長寿なネズミは、ハダカデバネズミです。
なんと30年近い寿命の持ち主です。
モグラのように地中で生活をしています。特殊なタンパク質を持ち、たとえ損傷を受けても機能し続け、老化を防ぐことができます。近年研究者たちの関心を引いています。
デグーがかかりやすい病気は?
かかりやすい病気の症状と予防として次のようなものがあげられます。
☆熱中症
体が熱い。耳が赤くなる。呼吸の乱れ。元気がない。食欲がない。
気温の変化に影響されやすく、自分で体温調節ができません。20℃前後を生活適温として、28℃以上にならないように注意しましょう。
☆低体温症
手足や体が冷たい。全身が震える。呼吸数が減る。意識がなくなる。
冬は10℃以下にならないように、エアコンやペットヒーターで調節しましょう。
☆不正咬合
歯が欠けたり、歯の長さが違うなどで咀嚼ができなくなります。
食べる量や水を飲む量が減る。よだれが出る。痩せてくる。元気がない。
動物にとって咬み合わせは重要です。栄養不足になり毛艶にまで影響を及ぼします。
金網のケージをプラスティックに変えたり、高所からの落下を防ぎましょう。
☆糖尿病
水をたくさん飲む。尿の量が増える。体重の減少。元気がない。
血糖を調節する機能が低いので、過剰な糖質の摂取に気をつけ、日頃から運動をさせましょう。
☆ビタミン欠乏症
元気がない。動きが鈍い。体重の減少。歯肉からの出血。
体内でビタミンCを作れませんので、欠乏により出血性の障害が体の器官内で起こります。ビタミンCの含まれたペレットやサプリメントで補い、免疫力を高めましょう。
病気になった場合どうしたらよい?
小動物特有の本能で、天敵から身を守るために、体調の変化をあまり表に出しません。一度体調を崩すとすぐに命を落としてしまうこともあります。
特にデグーを診察してくださる動物病院は限られていますので、日頃から病院を見つけておきましょう。
気になる症状が出て、病院へ連れていく前にできる応急処置をあげてみました。
熱中症になってしまったら、なるべく早く体温を下げるために、冷たいタオルなどで、体を冷やしてあげましょう。脱水の場合は、スポイトで水をあげましょう。
低体温症の場合は、体をゆっくり温め、水かぬるま湯をスポイトであげましょう。
糖尿病は発症すると治療は難しいといわれています。病院で血糖値を下げる降下剤の投与や食事療法になります。糖尿病は免疫を下げてしまうので、感染症にも注意が必要です。
デグーの応急処置は家ではあまりできません。一刻も早く動物病院の診察を受けましょう。
デグーを飼う際に気をつけることは?
飼育環境を整えてから、受け入れましょう。
岩場で暮らしている動物なので、ケージはハムスターなどと違い、背が高く、運動ができストレスがたまらないものを選びましょう。ケージ内を三段の階層を作ってあげると、十分に遊べます。
ケージ内には、給水器、回し車(直径25cm以上のハムスター用より大きいもの)、巣になる木箱、砂遊び用の容器にチンチラ用の砂を入れておく(乾燥地帯に住んでいますので、水浴びの習性はありません)。ケージの床には、新聞紙やウッドチップを敷きます。
餌は、過酷な環境で暮らしているので、粗食で完全な草食性です。
チモシーなどの牧草を主食として与えましょう。最近ではデグー専用のフードも出ていますが、野菜や果物と同じように、与え過ぎるとそれだけしか食べなくなり、糖尿病を引き起こします。基本は牧草とお水だけにしたほうがよいでしょう。
警戒心が強いので、大きな音をたてたり、長い尻尾をつかむことはやめましょう。
生活適温も幅があって、その子ごとに適温が違いますので、良く観察をして活動状況を見ながら、環境温度の調節をしてください。
デグーの飼い方・生活の様子↓
まとめ
デグーはとても知能が高く、適応能力もあるため、飼い主のパターンに合わせて、生活をします。
定期的に砂浴びをして、体をきれいにするために、体臭もほとんどありません。
ただ一つ、トイレのしつけは出来ないようで、ケージ内にはしないのですが、入り口が汚くなってしまいます。それもご愛嬌でしょうか・・・
好奇心も旺盛で学習能力もあります。根気よく世話し続けると、ハムスターやリスより懐くといわれています。たくさん話しかけて、‘‘アンデスの歌うネズミ’‘が歌ってくれる日が来ると楽しいですね。
以上、デグーの寿命や病気についての解説でした。
関連記事:デグーの飼い方についてわかりやすく解説