皆さんは、蟹は好きですか?
蟹と一口に言ってもその数は多く、一般的に知られている越前ガニやタラバ蟹などは食べ応えもあり美味しい事でも有名ですよね。
また、海だけでなく川の浅瀬などで遊んでいると小さな蟹を見つけたりすることもあります。
子供の頃は家に持ち帰り、プラスチックケースなどに入れて飼育した記憶もありますが、1週間もしないうちに死んでしまい悲しい思いもしたものです。
今回は、そんな蟹の中でもモクズガ二の飼育方法や捕り方、販売価格について解説したいと思います。
目次
生態は?
モクズガ二とは、エビ目(十脚目)・カニ下目・イワガ二科に分類される蟹の一種で、日本全域の河川に生息しています。
大きさは甲羅の幅が7~8cm、重さが180gとやや小さめの種類になり、食用蟹として知られています。
また、カニ類の中でもオスモライトと呼ばれる浸透圧調節物質を蓄積する為、細胞内の浸透圧を高めて細胞容積を保つ事が出来る事から、淡水でも塩分濃度の高い海でも適応することが可能であり、一生の間に海と河川の間を回遊する「通し回遊」の習性を持つ事でも知られています。
その為、河川で生息していた成体は繁殖期になると海へ移動し、繁殖を終えると死んでしまい、海で孵化した幼生は海で育ち成体になるころには河川に戻ってくると言う生活史になります。
川で捕ることができる?
モクズガニは日本全域の河川、特にサワガニよりも下流の河口に多く生息しており、晩夏から秋にかけて川の淡水域にはモクズガニの成体が多く出現します。その為、この時期の昼間に水中の石の下や石垣の隙間などを探すと簡単に採集することができます。
しかし、秋から冬にかけて繁殖期を迎えると、ほとんどの成体は海へ移動する為、春以降、夏の終わりまでの間は姿がほとんど見られなくなる為、淡水域での採集が難しくなります。
その他入手方法や販売価格は?
モクズガニは、淡水と海水のどちらでも適応する能力がある事から海に下りた成体でも潮の干満に合わせた行動が見られます。
その為、昼の満潮時でも観察することができます。
また、蟹などを扱っているショップやネットなどでも販売されており、その価格は大きさによって違いがありますが、1個300円から売られる事もあります。
しかし、平均的には3000円~5000円(1kg)前後で取引されているようです。
飼育方法や必要なものは?
モクズガニは7~8cmとそれほど大きなものではなく、淡水、海水とどちらにも適応能力がある為、環境が良ければ飼育することもできます。
その際に必要な物は以下のようなものになります。
・水槽
最低でも40cmの蓋付きの水槽を用意して水は蟹の大きさよりも15~17cmの深さまで入れます。
尚、水深が浅すぎると脱皮不全を起こす個体もいる為、水深には注意します。
・砂利やシェルターになる植木鉢
砂利などで陸地も作る必要があります。
また、複数飼いをすると喧嘩や共食いなども見られるため、蟹が隠れる程度の大きさがある植木鉢を1匹に対して1個用意する必要があります。
・濾過フィルター
モクズガニは水質の変化には比較的強い生き物ですが、水の中で餌を食べるため、水の汚れなどを考えて濾過フィルターを設置するようにしましょう。
・温度計
モクズガニは丈夫で飼いやすく初心者には向いてますが、温帯域に生息する生き物である為、低温には弱い事から20℃位をキープできるように注意します。
・餌
飼育下ではザリガニ用の人工餌でも十分ですが、刺身の切り身や貝なども与えます。
具体的な餌や与える頻度は?
モクズガニの食性は動物質を中心とした雑食性であり、生きた小さな魚や貝などを好んで食べ、岩などに付着した藻なども食べています。
その為、飼育下では刺身などの切り身や貝などを与え、ザリガニ用の人工餌は好んで食べるようです。
頻度は蟹の大きさにも違いがありますが、食べ残したら早めに取り去るようにしましょう。
モズクガニの餌やりの様子
平均的な寿命は?
モクズガニの平均寿命は、約3年~5年と言われていますが、甲殻類の場合は共食いや脱皮不全などによって突然死する場合も多い為、1年~3年と言う説もあります。
養殖も可能?
モクズガニは、ウナギのような通し回遊を行って成長しますが、現在の研究では卵から稚ガ二までの生産や稚ガ二の放流などは全国各地で行われているようです。
しかし、成体の養殖に関しては共食いなどの弊害もあり大量生産の技術までは出来ていないのが現状のようです。
飼育する際の注意点は?
複数飼いを行うと喧嘩や共食いなどを起こす為、飼育する場合は単独飼いが理想ですが、複数で飼う場合は隠れる事が出来るシェルターを1匹に1個用意することが必要です。
また、肺吸虫(ベルツ肺吸虫)の中間宿主としても有名であり感染病も報告されている事から生で食べる事は控えるようにします。
料理の際は飛び散りに注意してしっかり火を通すようにしましょう。
まとめ
モクズガニは日本全域の河川に生息しており古くから食用とされており、毎年晩夏から秋にかけて河川などの淡水域で採集される事が多いようです。また、淡水と海水のどちらでも生息可能な蟹でありウナギのような通し回遊の習性を持つ事でも知られています。
その為、繁殖期である秋から冬にかけて海へ下りてしまい、春以降から夏の終わりまでは淡水域で採集することが難しくなります。
現在ではモクズガニの卵から稚ガ二までの生産や稚ガ二の放流は全国各地でも行われるようになりましたが、成体の養殖は共食いなどが弊害となり大量生産までは至っていないようです。
食べても美味しいモクズガニですが、水質が多少悪化したとしても比較的強い事から初心者の飼育にはおすすめできます。
しかし、モズクガニは吸虫寄生の感染も報告されている事から、取り扱いには十分注意して食べるときは生食は避けて必ず火を通してから食する事が大切です。
以上、モクズガニの飼育方法や捕り方、販売価格についての解説でした。
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