小笠原諸島は、東洋のガラパゴスと言われるほど他では見られない動植物が多数生息しています。
中でもグリーンアノールは、通称アメリカカメレオンと呼ばれるトカゲであり、繁殖力が高く肉食である為、小笠原の生態系に大きな悪影響を与えているようです。
そんなグリーンアノール、どんな生き物かチョッと気になりませんか?
今回は、そんな小笠原のグリーンアノールは駆除対象?飼育・天敵・被害について解説したいと思います。
目次
グリーンアノールの生態
グリーンアノールの原産国は、アメリカ合衆国南東部であり、通称アノールトカゲ、又はアメリカカメレオンと呼ばれるトカゲの一種です。
主に森林の林緑地帯や農耕地周辺の樹木などの樹上で生活し、昼行性の変温動物である為、日中は日当たりの良い所で日光を浴びながら餌などを捕獲しています。
また、夜間は樹林の枝や葉の隙間などで休むと言う生活スタイルになります。
食性は、肉食であり主に昆虫類や節足動物などを捕食しており、目が発達している事から数メートル先の昆虫も見つけてしまいます。
オスは、メスよりも大きく咽頭垂を広げて威嚇や求愛行動をとり一夫多妻制です。繁殖形態は卵生で一回に一卵しか産みませんが、春から夏にかけて12~20日間隔で繰り返し産み付けるため、繁殖能力が高いです。
日本では、小笠原諸島と沖縄島に定着しており、小笠原諸島の父島と母島のほぼ全域に生息します。
小笠原のグリーンアノールは駆除対象?
グリーンアノールは元々日本に生息する生き物ではなく、戦後運搬された物資に混入していたり、ペットとして飼われていたものが脱走し野生化して島全域に分布したものと考えられています。
現在ではその数、約400万匹とも言われ、1ヘクタールあたりの生息密度では1000匹以上とも推定されています。
その為、グリーンアノールは2005年に特定外来生物に指定されており簡単に駆除することは出来ないとされてきましたが、小笠原の固有種を含む昆虫類には壊滅的な被害を与えている事から、生態系を脅かす害獣として駆除の対象になっています。
昆虫をパクパク食べてしまいます
グリーンアノールの被害
グリーンアノールは樹上性で昼行性の昆虫を捕食する為、小笠原の島全域の在来昆虫が激減しており、蝶やトンボ、ハナ蜂、セミ、カミキリムシ、タマムシなどの生態系が崩れ、特に固有種でもあるオガサワラシジミ(蝶)はほぼ壊滅に近い状態にまでなっているようです。
その為、昆虫だけでなく植物などの生態系も崩す事になり島全体の自然破壊の拡大も懸念されており、日本生態学会では、グリーンアノールを「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選定しています。
可愛い顔してなかなか厄介な存在なんですね。
グリーンアノールの値段
以前は、ペットやトカゲの餌用として大量に輸入されていましたが、2005年に特定外来種に指定されて以来、輸入される事もなくなり現在では日本国内での流通も無くなっています。
その為、ペットとして飼育されていた約20年以上前の値段では1000円~1300円前後で取引されていたようです。
グリーンアノールは飼育できる?
グリーンアノールは小さくて体色が綺麗なグリーン色である為、爬虫類愛好家たちの間ではペットとしても人気がありますが、2005年に特定外来生物に指定されて以来、飼育や運搬することは禁止されています。
外来種に指定されているペットを飼育する場合は、環境省からの許可が必要であり、飼育用のケースには鍵のかかる事と頑丈である事が厳守とされています。
その他には書類の手続きも面倒な事が多いですが、くれぐれも途中で投げ出す事などないように最後まで責任をもって飼う事が大切です。
グリーンアノールの天敵
小笠原の動物相は、海鳥類を除いて基本的に少なく、哺乳類では絶滅が危惧されているオガサワラオオコウモリのみとなっています。
また、天敵と考えられる爬虫類ではオガサワラトカゲとミナミトリシマヤモリの2種のみであり、この事からもグリーンアノールの天敵が少ない事が分かります。
鳥類では、イソヒヨドリが街中や道端でグリーンアノールを捕食する姿が確認されていますが、森林内で生息するグリーンアノールと海岸や岩山に生息するイソヒヨドリとの接点はほとんどない為、標的にはならないものと思われます。
そんなことから、グリーンアノールの天敵は無いに等しいと言えます。この天敵の少なさも、グリーンアノールが爆発的に増えている一つの要因かもしれませんね。
まとめ
グリーンアノールは、アメリカ合衆国南東部、キューバ、メキシコ、西インド諸島に分布するトカゲの一種で、日本の小笠原諸島には1960年代に父島にペットとして持ち込まれたとされています。
それが脱走して野生化し、島全体に分布した物と考えられています。
野性化したグリーンアノールは繁殖力が高く、天敵と言う天敵も少ない事から数が増え続け、2005年には特定外来生物の指定を受けています。
しかし、昆虫の激減によって植物などの生態系を崩す事にもなり、更には島の固有種でもあるオガサワラシジミは捕食されて絶滅に近い状態にもなっている事から小笠原では特定外来生物であっても駆除対象になっています。
ペットとして飼われていたものが人間の不注意によって野生化してしまい、増え続けて自然の生態系を崩してしまう事で駆除されると言う、外来生物の悲劇がここでも起きている事に理不尽さを感じてなりません。
爬虫類や珍しい生き物をペットとして飼う以上は、それなりに責任を持つ事も愛情の1つと考えて最後までしっかり管理するよう努めてほしいと感じました。
以上、小笠原のグリーンアノールは駆除対象?飼育・天敵・被害などの解説でした。
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