亀と言えば、縁日で見かけるミドリガメは有名なところですが、皆さんはセマルハコガメと言う亀をご存じですか?
1972年に国の天然記念物に指定されており、頭や手足を甲羅の中に引っ込めるだけでなくその上からふたをしたように隠れる事が出来る珍しい亀のため、最近ではペットとしても人気急上昇中との事です。
そんな珍しいとされるセマルハコガメの販売価格や飼育方法などが気になるところです。
今回は、そんなセマルハコガメの販売価格や飼育方法、寿命について解説したいと思います。
目次
飼育方法や必要なものは?
セマルハコガメは、爬虫類網・カメ目・イシガメ科・ハコガメ属に分類されるカメであり、陸生で湿った林床を好んで生息しています。
本種は八重山諸島(石垣島、西表島)で固有亜種になりますが、原名亜種は中国南部、台湾などに分布している事からクサガメやミドリガメのようにどこにでもいるカメではありません。
以前は漢方薬やペット用として乱獲されたり、生息地の破壊などで数が減少した為に絶滅危惧種に指定されていました。
また、国産の個体は国の天然記念物に指定されている為、採集や飼育は禁止されており、更にはSITES付属書Ⅱ類にも指定されている為、国際的取引も規制されています。
その為、飼育することは難しいとされていましたが、最近では国内のブリードが安定している事から入手が簡単になったようです。
飼育に必要な物は以下のようなものになります。
・入れ物
セマルハコガメの大きさは11cm~15cm前後で甲長も最大で20cmとあまり大きくない為、60cm~90cmの水槽や爬虫類用の水槽、又は衣装ケースなどの脱走できない広さのものを用意します。
・床材
出来ればヤシガラやミズゴケなどの保湿性の素材がベストです。
・水場
セマルハコガメは基本的に泳ぎは苦手であり陸棲性のため身体が浸かるくらいの水が入る入れ物に水を入れておくと良いです。
・温度計・湿度計
乾燥と低温が苦手であり、冬は冬眠しない為、冬場でも20℃~25℃をキープして、湿度が高い環境を保つようにします。
その為、異常な温度上昇などを予防する為にもサーモスタットは必要です。
・紫外線ライト
甲羅形成のためにも必要なライトであり、同時に保温球なども取り付ける必要があります。
また、爬虫類に必要なバスキングライとは体を温める為に必要なライトですが、森林性のセマルハコガメには特に必要性はないようです。
セマルハコガメを飼う際には、このような器具材を使って出来るだけ自然に近い状態で飼育することが望ましい為、テラリウムなどで飼育すると良いでしょう。
具体的な餌や与える頻度は?
セマルハコガメの食性は肉食傾向の強い雑食性である為、コオロギやミミズ、ナメクジ、又はレバーなどやバナナ、リンゴなどの果物の他にカメ用のフードなど何でも食べます。
その為、偏らずにバランス良く一週間に三日位のペースで与えるようにします。また、人工飼料のレプトミンなどを果物に混ぜて与えても良く、逆にメインに与えても特に問題はないとされています。
しかし、昆虫やレバーなどの肉類系は内臓に負担をかけやすい事から与える頻度は月に1~2回程度に抑えます。
販売価格や販売場所は?
セマルハコガメは、昔に比べると価格的に高くなり扱いも貴重な亀になったようです。
以前は、3千円位で購入できたものが現在では1個体につき2万円~10万円以上にもなり、繁殖に使えるオスはメスより倍以上の価格で入手も困難だと言われています。
その為、偽物も多く流通していることから低価格のセマルハコガメには注意が必要です。
また、大きさによっても価格が異なります。
現在の相場は以下の通りです。
・幼個体(ベビー)→2万円~
・10~12cm→10万円
・12~14cm→12万円
・14cm以上 →15万円
購入する場合は、亀や爬虫類の専門店などでも扱っていますがハコガメを飼育するブリーダーも多い事から直接問い合わせてしっかり確認してから購入するのが良いでしょう。
平均寿命は?
ツルは千年カメは万年と言う言葉がありますが、ハコガメが万年も生きるかと言えば微妙なところです。
しかし、ペットの中では寿命は長くだいたい30年から50年とされています。
また、飼育環境によっては一般の水棲カメと同じくらい長く生きるようです。
オス・メスの見分け方は?
セマルハコガメのオスは少なく貴重な存在である事からメスよりもオスを求める人が多いようです。
雌雄判別は主に排泄孔の位置で決めますが、幼個体(ベビー)の内は、判断基準となる尾が貧弱である為、よく分からない場合が多く明確に判断が出来るのは10cm以上の甲長になった頃が良いようです。
その判断方法は、以下のようになります。
・オスの場合
セマルハコガメの尾を腹側から見た場合、オスの場合は太くて長く総排泄孔(肛門)が甲羅の縁から離れた所にあります。
・メスの場合
オスと比べて尾は細くて短く、総排泄孔(肛門)が甲羅に近い所にあります。
このようにセマルハコガメの雌雄判別は腹側から見た尾の状態で見分けます。
セマルハコガメの飼育の様子
繁殖は可能?
セマルハコガメの繁殖は、温度や湿度などの生息環境が十分である事と性成熟期が来れば繁殖させる事は可能です。
亀の性成熟は年齢よりも成長サイズに影響するとされている為、甲長が12cm以上になったオスのカメは求愛行動をとるようになる為、繁殖の時期と判断します。
また、産卵場所の土の温度によって卵から産まれる個体の性別が決まると言われる「温度依存性決定」の仕組みで性別が決まる為、土の温度が低い場合はオスが多く、逆に高いとメスが多くなるようです。
冬眠時の注意点は?
変温動物であるカメは体温を一定に保つ事が出来ない為、冬の間の低温状態では冬眠するカメがほとんどです。
しかし、一年中温かい場所で生息するようなセマルハコガメなどは冬眠できない為、飼育する際は温度設定や湿度などの管理をしっかり行う事が大切です。
追記:セマルハコガメも冬眠し、かつ外での飼育も可能なようです。
まとめ
セマルハコガメは、危険を感じると頭や手足を甲羅の中に引っ込めるだけでなく、その上から蓋をしたように隠れる事が出来る珍しい亀と言われています。
また、昔台湾や中国南部で漢方薬やペット用として乱獲され、また生息地の破壊などによって数が激減したことから絶滅危惧種に指定され、国産の個体は天然記念物に指定されており、国際取引も規制されたため、採集や飼育が禁止されていましたが、現代では国内のブリードが安定したことで入手が簡単になったと言われています。
その為、価格も以前より高く昔と比べて貴重な亀として人気が急上昇していると言われています。
そんなセマルハコガメは、主に台湾や中国南部や日本では石垣島や西表島などの暖かい場所や高湿な場所に生息している為、亀の中でも冬眠しない亀とされている事から飼育する際には温度や湿度の管理が大切になります。
また、繁殖させる場合はオス・メスの判別を行い温度依存性決定の仕組みを上手に行う事で成功するものと思われます。
以上、セマルハコガメの販売価格や飼育方法、寿命についての解説でした。
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