キツネは、世界中で絵本や物語に描かれ、日本でも伝説や歌舞伎など色々な場面で登場します。その性格はずる賢く、時には恐ろしく、あまり好かれるイメージがないですよね。

2016年に公開されたディズニー映画の“ズートピア”では、キツネをはじめ色々な動物たちの特徴をとらえ表現されていました。アカギツネのニックとフェネックキツネのフィニックが活躍していました。ずる賢い詐欺師だったニックは、昔の心の傷を持ちながらも、本当は誠実で心優しく主人公を助けていく感動ストーリーでした。

キツネは臆病で神経質、警戒心も強い性格なので、何となく近寄りがたいので、嫌われ者のイメージを持たれるのかもしれませんね。けれど本当は心優しい動物なのかもしれません。

ヨルダン北部では、1万6千年前に人間と一緒に埋葬されている遺跡が発見されたそうです。オオカミの祖先の犬は1万5千年前とされているので、人間の最初のペットは犬ではなくキツネだったのかもしれませんね。

ロシアにある細胞学・遺伝学研究所の生物学者ドミトリ ベリャーエフは、ソ連時代の1954年頃より“キツネの家畜化の研究”を行っていました。メンデルの遺伝学に基づき130匹の銀ギツネを交配し続け、40年後ようやく50代目にして人好きのキツネが誕生したそうです。当時ソ連ではメンデルの遺伝学は完全否定されていましたので、ベリャーエフは追放されたのですが、弟子のリュドミーラ トルートが受け継ぎ、現在でも研究は続いているそうです。

キツネは“特定動物”に指定されていないので、ペットとして飼育することはできます。

今回は、キツネの飼育方法・餌・寿命について解説したいと思います。

※特定動物とは、人や財産などに危害を加える可能性がある危険な動物で、飼育には都道府県知事又は政令市の長の許可が必要です。また飼育の際にはマイクロチップや脚環が義務付けられ、飼育施設や保管方法などの基準を守らなければなりません。現在哺乳類・鳥類・爬虫類の約650種が対象となっています。

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目次

キツネはどんな生き物?

キツネは哺乳綱ネコ目(食肉目)イヌ科イヌ亜科です。

哺乳類の中で、オオカミと同様にもっとも分布の広い動物のひとつです。頭も良く、警戒心が強い動物です。

アフリカ北部・ヨーロッパ・アジア(インド・インドシナ半島を除く大陸部と日本)・北アメリカ(合衆国の北半分以北)・北は北極海の沿岸に生息します。日本のアカギツネは、生息地の森林開発などにより四国や本州では少なくなってきました。

体格はオオカミやジャッカルなどのイヌ科の動物に似て小さく、体重は3kg~14kgほどです。イヌよりどちらかというとネコに近く、目もネコのように縦長の瞳孔をしています。

視覚・嗅覚・聴覚が発達し、50km/h近くの速度で走り、身体能力が高く、泳いだり跳躍したりなど俊敏な動物として知られているようです。ほとんどが木に登り、木の中で眠ることもあります。

日本で発見された巣穴は、入り口から10メートル程の長さで、地下1~3メートルの深さに数個の出入りの穴がありました。夜行性の為、日中は地中で過ごし、暗くなると狩りに出かけます。

食性は雑食性で、とり・ウサギ・齧歯類などの小動物や昆虫を捕食します。

出産以外は群れではなく、単独で行動します。自分の縄張り意識が強く、食糧が確保できる10平方キロメートルの範囲をテリトリーとしているといわれています。一回の出産で1匹~10匹の子を産みますが、半年ほどの間に狩りを教え、子供たちと離れます。このことも自分のテリトリーの食料を減らされたくないからという説があります。

ペットとして飼育可能なキツネを紹介しましょう。

① ホッキョクギツネ

ツンドラ・北極地方に生息します。主に毛皮や食用に飼育。
白色型…冬に真っ白になり、夏には灰茶色になります。青色型…冬は青灰色、夏はチョコレートブラウン色です。
餌はドッグフード・キャットフード・ウズラの卵・とり肉・野菜など
冬は氷上で生活していますので-70℃にも耐えられます。

② ハイイロギツネ

アメリカ中央部からベネゼエラ・オンタリオ湖に生息。主に毛皮用に狩猟。被毛は灰色、黒色のタテガミが背中から尾にかけてある。木に登ることができる。餌はホッキョクギツネと同じ。

③ アカギツネ

北極圏から北アフリカ・中央アジアの砂漠・アジアに至る北半球全域
日本に生息するキツネは、ほとんどがアカギツネです。
アカギツネは本州・九州・四国と淡路島に生息するホンドキツネと北海道・北方領土に生息するキタキツネに分かれる。
体長50~60cm、尾長35~60cm、体重5~10kg。体色は赤褐色または褐色。
雑食性でネズミ・モグラ・ウサギなどの動物が中心。泳ぎが上手です。
森林と畑が混在した環境を好みます。

④ フェネックキツネ

沿岸部を除く北アフリカの砂漠・アラビア半島に生息。
体重1.5kg以下で犬のチワワより小さく、イヌ科最小の動物と言われています。
体長36~40cm、尾の長さ18~30cm、耳は15cm位で体に対して大きな耳が特徴。
砂漠に生息するので、体色は保護色の砂色、寒さに弱い。
日本ではペットとして、このフェネックキツネがとても人気がありますので、飼育方法について詳しくは後述します。

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キツネの飼育に必要なものは?

きつね 飼育



一般のキツネもペットとして飼育できますが、人間にあまり馴れず飼育には不向きですし、流通量も少なく、自分で捕らえて飼育することも難しい動物です。

そこで、日本でペットとしてよく飼われていて、購入しやすいフェネックキツネの飼育についてご説明しましょう。

フェネックキツネは、大きな耳と黒く大きな目が魅力的な、世界一可愛い動物としても紹介された小さいキツネです。

特長は“飼育可能なキツネの紹介④”でご説明しましたが、砂漠に生息していますので、寒さにはとても弱く、冬場はエアコンやヒーター、梅雨の時期には乾燥機などが必要になるでしょう。

巣穴の役割になるケージは必要ですが、運動量が多い動物なので、普段は広いスペースでの放し飼いをするとよいでしょう。


キタキツネの飼育の様子

キツネの具体的な餌はどんなもの?

野生下では、小型の齧歯動物・とり・卵・爬虫類・昆虫を捕食しています。

飼育下では、ドッグフードかキャットフードを複数回に分けて食べますので、時間が経っても味の変わらないドライタイプが良いでしょう。

またネコと同様にタウリンが必要なので、水分も一緒に摂れる野菜や果物も与えましょう。

ちなみに食べてはいけないものは、イヌと同じでネギ類・ニンニク・チョコレートなどです。

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キツネの飼育方法は?

フェネックキツネは、小さいながらも一般のキツネと生態は変わりません。臆病で神経質で警戒心も強い動物です。

夜行性の為、夜に動き出し、穴を掘り始めます。夜中に床を“カリカリ”したり、甲高い声で鳴くなど、近隣に迷惑にならないようにしましょう。

イヌやネコのようにトイレも覚えないので、決められたところでの排泄ができません。排泄物もとても臭いので覚悟が必要です。常に掃除がしやすいように工夫しましょう。

キツネの平均寿命は?

フェネックキツネの寿命は野生下で10年とされていますが、天敵に襲われたり、病気などのために寿命まで生きられる子は、限られているようです。

飼育下では15年程ですが、生息地に合った生活環境を作り、病気などの変化にも気を配る事が大切です。

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キツネを飼育する際の注意点は?

フェネックキツネは、人気がある反面、絶滅の恐れがある希少な動物として、ワシントン条約で保護され、CITESⅡ類に記載されています。輸出入には許可証が必要となります。

最近ではフェネックキツネの人気と共に、専門店が増えつつあります。ブリーダーも少ないので、購入には専門店が良いでしょう。専門店では正規に輸入の際、6ヶ月の動物検疫所で係留され、感染症などの検査を受けた上で、証明書を付けて販売をしているので、安心できます。(国内で繁殖をすると血縁が濃くなり、体の弱い子など病気の心配があるようです)

ただし、このように輸入されますので、価格はとても高額になります。オスで60万円、メスが70万円、ペアで120万円が平均的でしょう。

飼育の際は生態をよく理解したうえで、飼い始めてください。

感染症などの病気は人間にもうつる場合がありますので、すぐ対処できるように、動物病院は必ず探しておきましょう。

まとめ

きつね 飼育



とてもかわいい動物の映像として紹介されたことがありますが、雪原の中で獲物をじっと待ち、突然頭から雪の中深くダイブするキツネの映像を見たことはありますか?

この行動は“mousing”と呼ばれ、地球の磁場をハンティングに利用する未知の特殊能力といわれています。アカギツネの狩りの研究者チェコのロスラフ セルベニーさんは、84匹のアカギツネによる600回のハンティングの観察をしたそうです。

すると獲物を捕獲するために北東方向にジャンプするキツネは、かなり成功率が高いことがわかりました。キツネは視覚・聴覚などに加えて地磁気の感覚を持っているらしいといわれます。獲物が雪原の下で動くかすかな音、微妙な明るさに加えて、磁気感覚を距離計としてすべてが重なる角度を割り出して、獲物までの距離が把握できるとしています。

未だこの理論は仮説にすぎないなどと言われていますが、動物たちの生態は人間には計り知れない感覚が備わっていると思います。

以上、キツネの飼育方法・餌・寿命について解説でした。

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